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その証拠 [禁煙日記]

パンティーンが唱えた「元トップアスリートの完成された美人」説が、女にはまんざらでもない様子です。
明らかに、見られているのを意識しています。
今や腹だけではなく、太ももなど全身に力を入れ、ぐっと引き締めて見せようとしているようです。

「証拠もあるよ」

パンティーンが言いました。
彼女の言う証拠とはすなわち、

わたしたちに砂の塊か石のようなものを投げつけてきたときの、あの飛距離とスピード。
あれをたたき出すには、鍛えられていないと無理である。
また、わたしたちに命中こそしなかったが、常にすれすれを飛んでいったコントロールのよさ。
あの下手投げのモーションから確実にバシバシとストレートにきめてくることを考えると、彼女はソフトボールの選手なのだ。

女はこちらを見るような見ないような感じで、唇をちょこっと尖らせました。
パンティーンは言いました。

「アスリートなのは間違いないけど、ソフトではないようだ」

わたしは、思わずふき出しました。女の様子と、パンティーンの解釈がおかしかったのです。
しかし、わたしはアスリート説には納得がいかず、

「いや、天女です」

「いいえ、アスリートです」

と、二人で言い合いを始めました。

わたしたちに全身をじろじろ見られる女は、やがて恥らう乙女のような物腰になり、頬を赤らめ、意味も無く衣装のあちこちを軽く引っ張るようにして、露わな肌を隠すようなしぐさを繰り返していました。
言い合う中、突然パンティーンが、

「えい!! 暗くて見にくい!!」

と怒鳴りました。
確かに、月明かりと、女の背中側から来る港の外灯の逆光だけでは、女を観察するのには暗すぎました。
そして、パンティーンは女に、

「こっちに尻見せて!!」

と言いました。
女はもじもじしています。

「背中だよ!! あっち見て!!」

と言うパンティーンに怒られたかのように、女はぶら下がる手を入れかえるようにして、わたしたちに背中を向けました。

「ほら!! 背中が逆三角だ!!」

女の背中は確かに、逆三角は言いすぎですが、脂肪の内側には鍛えられた筋肉が張っているのがはっきりと分かります。

「うーん」

わたしは唸りました。


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